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口が乾く 口腔乾燥症

皆さま、こんにちは。
日差しが春の訪れを感じる季節となりました。
同時に花粉などの影響により乾燥によるお肌トラブルに悩まされてる時期でもありますね。
今回はそんな乾燥にまつわるお話をさせていただきたいと思います。

「最近お口の中が、 乾いたな…」 と感じることはないでしょうか?
現代では高齢化社会に伴い、 口腔乾燥感を主訴に来院される患者様が増加しています。
疫学的には、 全高齢者のうち12 ~39% の罹患率があると言われています。
次の図は年齢別口腔乾燥自覚度を示します。

では、 実際に口腔乾燥症とはどういったものなのでしょうか?

●口腔乾燥症の概念と症状

口腔乾燥症とは一般的に「口腔内の水分減少により、 直接的または間接的におこる一連の口腔内におこる不調」 と定義されます。
臨床的には、 唾液の分泌量そのものが低下している唾液分泌低下症(SGH) と唾液分泌量にかかわらず 口腔乾燥感を感じるものdry mouth の大きく二つに分けられます。
症状として直接的なものでは口腔粘膜の感覚異常、 味覚異常、 唾液の粘稠感などです。
また、 間接的なものでは飲み込みにくさ、 噛みにくさなど様々です。
それらによって、 口腔乾燥でQOL が低下する可能性は否定できません。

●口腔乾燥症の原因

口腔乾燥症の多くが多因子性疾患であることから、 口腔乾燥症と断定することは難しいこともあります。

・加齢により生じたもの
・高血圧症、 糖尿病、 シェーグレン症候群、 自己免疫疾患などの全身疾患
・唾液分泌に影響を及ぼす抗ヒスタミン薬、 抗うつ薬、 抗精神病薬
・放射線治療による晩期障害
・ストレス
・水分減少

などです。
また、 昔に比べ柔らかい食べ物を好んで食べる風潮から、 咀嚼時間が減り口腔周囲の筋肉の衰えなども原因として挙げられます。

●診査

ムーカス試験

舌の表面とセンサ部分が平行になるよう押し当て3 回測定することで、 口腔湿潤度を測ります。

ガムテスト

10 分間ガムを嚙み、 分泌された唾液を容器に吐き出し計測します。

サクソンテスト
乾燥したガーゼを2 分間一定の速度で噛み、 ガーゼに吸収される唾液の重量を測定して唾液の分泌量を測定します。
その他の検査として、 唾液腺シンチグラフィー、 唾液腺造影検査などがあげられます。

●治療

口腔乾燥症による治療法はそれぞれの原因に対する原因療法が主体ですが、 それでも改善が見込めない場合では口腔湿潤剤を使用するなど対症療法も視野に入れ対応することもあります。
また、 唾液腺マッサージなどのセルフケアを行い、 直接刺激を与えることで効果の増大も期待できます。

耳下腺:耳の横を手指で後から前に向かって回すようにマッサージします。

顎下腺:親指の腹で舌を持ち上げるように押します。

舌下腺:指を下のアゴの骨の内側の柔らかい部分にあてて耳の下からアゴの下までを5ヶ所くらいを1~2秒押します。

原因に対する処置法は、

1.薬物性唾液分泌量の低下
薬が唾液分泌の低下を引き起こすことも多いです。
しかし、 明らかに服用している薬が原因だと分かっていても独断で中止するのではなく主治医と相談して、 服用薬の変更または、 量の調節を行うようにします。

2.ストレス
ストレスが原因の場合は、 心理士などによるケアが対象となります。
また、 心理的要因から薬が処方された場合、 唾液分泌量と関わりがあるかなど、 主治医と相談する必要があります。

3.唾液腺の器質的障害((放射線晩期的影響)
放射線により、 唾液腺そのものが破壊されてしまうことがあります。
その場合、 口腔湿潤剤などによる対症療法が基本となります。
また、 上記でも説明をしたように、唾液線の一部が機能している場合は、 セルフケアによる唾液腺マッサージが有効となります。

●最後に

口腔乾燥症により、 美味しい食事や友人との会話ができず、 個人のQOL に支障をきたしていませんか?
少しでも気になる場合は、 お近くの歯科医院を受診されることをおすすめします。

歯科医師 永井 綾香

参考文献
九州歯科大学生体機能学講座老年障害者歯科学分野 口腔乾燥症の病態と治療 柿木保明
ドライマウスと環境因子 日本歯科大学生命歯学部口腔外科学講座 日本歯科大学東京短期大学

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上顎洞挙上手術とは
~サイナスリフトの有効性~

皆さま、こんにちは。
猛暑の厳しい日々が続く8月になりましたが、お元気でお過ごしでしょうか。
連日40℃に迫る暑さで疲れがたまり、熱中症や熱ストレスのリスクが高まっています。
適切な栄養の摂取と、こまめな水分補給、適度な休息を心掛け、お身体の体調管理に留意しながらお過ごしください。

歯を失うことでタンパク質の摂取量が減少することが報告されています(※1)。
虫歯や歯周病で歯を失った場合に、インプラント治療が有効であることは、近年では広く知られるようになってきています。
しかし、実際には歯を失った後の不十分な骨量が足りず、インプラント治療をあきらめざる得ない場合も少なくありません。
今回は、上あごの骨が薄い患者様のインプラント治療を可能にとする「サイナスリフト術」という治療技術についてお話しいたします。

インプラント治療は、チタンやジルコニアでできているネジ状の棒(「インプラント体」といいます)を顎の骨に埋め、この上部に人工の歯冠(「上部構造」)を取り付け失った歯を回復させる治療方法です。
他の歯を傷つけることなく、自然な形の歯を再現できる等のメリットがあります。

しかし、誰もが選択できる方法ではありません、骨の中にインプラントを埋入するためには、骨の十分な厚みや幅が必要になってきます。

歯を失った部分の骨は痩せて薄く細くなるため、インプラントを支える十分な骨の量を確保できなくなる場合があります。
特に上顎臼歯部(上あごの奥歯)では、骨の上には「上顎洞」と呼ばれる空洞(副鼻腔)があり、骨の厚みが薄くなる傾向が強く、通常のインプラント治療ができないケースが多くあります。
こうした場合に有効なのが、上顎洞底の骨の厚みを増加させる「サイナスリフト術」です。

サイナスリフトの目的

サイナスリフト術の目的は、インプラント体を埋入するため骨の厚みを確保することです。
上顎洞は空洞の外側を一層上顎洞粘膜(シュナイダー膜)で囲まれています。
サイナスリフトでその上顎洞粘膜を持ち上げて作ったスペースに人工骨を填入し骨の高さを増やし、インプラント体をしっかりと埋入できる骨の足場を築きます。

サイナスリフトの術式

この人工骨を填入する方法には、
➊ラテラルアプローチ
➋クレスタルアプローチ
と呼ばれる主に2つの方法があります。

この方法では手術による侵襲が大きくなってしまいますが、より多くの骨を作ることができます。
ラテラルアプローチは、以下のような場合に適しています。

・上顎洞の正面または後方からのアプローチが困難な場合。
・上顎洞の底部の骨量不足が比較的少ない場合に、骨を追加するための十分な領域がある場合。
・上顎洞の位置や解剖学的条件により、他のアプローチ方法が制約される場合。

この方法では、手術による侵襲がラテラルアプローチに比べ小さくすみますが、骨を多くつくることはできません。
クレスタルアプローチは以下のような場合に適しています。

・上顎洞の正面や後方からのアプローチが困難な場合。
・上顎洞の底部の骨量不足が比較的少ない場合に、骨を追加するための領域が制約されている場合。
・サイナスリフト手術の際に、骨増量を行いながらインプラントの挿入を同時に行いたい場合。

サイナスリフト術は上顎洞底粘膜を挙上するため、術後一過性に上顎洞炎の症状を起こすことがよくあります。
また、鼻閉や鼻出血の症状が出やすいので鼻をかむ等の上顎洞に圧力のかかる行為を行うと上顎洞底粘膜が破れる可能性があるので注意が必要です。

サイナスリフト術の効果

【1.骨の増加】
サイナスリフト手術により、上顎洞の底部に骨を追加することで、インプラント挿入に必要な骨の量を確保することができます。
骨量不足の場合、インプラントが適切に固定されず、成功率が低下する可能性があります。
サイナスリフトによって骨量を増加させることで、インプラントの長期的な成功率を向上させることができます。

【2.インプラントの安定性】
骨とインプラントがしっかりと結合(オッセオインテグレーション)することにより、咬合力や咀嚼力を支えることができます。
サイナスリフトによって骨量が増加することで、術後のインプラントの安定性を向上させることが可能となります。

【3.美容的な改善】
上顎の骨量が不足している場合には、歯茎の形が不均一になることがあります。
サイナスリフトによって骨量を増加させることで、歯茎の形態を回復することが可能となり、インプラントや補綴物の装着により、自然な歯の形状を取り戻すことができます。

【4.インプラントの適用範囲の拡大】
サイナスリフト手術によって骨量が増加することで、インプラントの適用範囲が拡大します。
骨不足が原因でインプラントが不可能とされていた患者さまに対して、サイナスリフトを行うことでインプラント治療の選択肢が広がります。

静脈鎮静法(セデーション)を併用すれば、リラックスして手術を受けることができます。

鎮静状態で手術を受けるため、不快感や痛みを最小限に抑えながら手術を受けることができます。
サイナスリフト手術は、口の奥の上顎洞(副鼻腔)の領域にアクセスする必要があり、時には一定の痛みや不快な感覚・拘束感を伴う事があります。
この様な不快感を予防し、手術時の不安を取り除く為に当院では、静脈鎮静法(セデーション)という点滴による麻酔を併用した手術を行っています。

麻酔専門医の管理下で鎮静剤・鎮痛剤を点滴投与することで、術中・術後に手術中の記憶が残ることはありませんので、安心して施術を受けていただけます。

手術後の注意点

・手術後は一時的に出血や腫れが起こることがあります。
・処方された鎮痛剤や抗生物質を指示通りに服用してください。
・手術部位に直接触れないように注意して歯磨きを行い、処方された口腔洗浄液でうがいをすることが推奨されます。
・傷口を刺激しないような注意をお願いいたします。
・手術後数日は、お食事は刺激の少ないものや柔らかいものをお摂りいただき、アルコールは控えてください。

サイナスリフト術は、今まで不可能だった部位へのインプラント埋入を可能とできるとても有用な治療方法です。
骨がないからインプラントをあきらめていた方、この治療に興味を持たれた方はご相談いただければと思います。

歯科医師 清原 秀一

参考文献
(※1)Iwasaki M, Yoshihara A, Ogawa H, et al.: Longitudinal association of dentition status with dietary intake in Japanese adults aged 75 to 80 years. J Oral Rehabil 43:737-744,2016.

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噛める入れ歯の作り方

皆さま、こんにちは。
暑さ厳しい折、いかがお過ごしでしょうか。
朝夕は少し涼しくなり過ごしやすくなって来たように感じますが、夏の疲れが出てくる頃ですので、お体にお気をつけてお過ごしください。

今回は入れ歯の作り方についてお話させていただきます。
入れ歯は失った歯を補う治療法の1つとしてあげられますが、そもそも歯の喪失は、年齢が高くなるほど進み、高齢者では歯のない人が多くなります。
左下グラフは2016年に行われた全国調査(歯科疾患実態調査)における一人あたりの歯の数(一人平均現在歯数)を年齢階級別に示したものですが、高年齢層ほど値が低く
後期高齢者(75歳~)では、本来持っている歯の数(28本)の半数近くが失われています。
(後期高齢者で20本以上の歯を持つ人は46%です。)

右上グラフは歯の数の平均値を年齢階級別に示したものです。
1980年代以降は増加傾向にあります。
たとえば60歳前後(55~64歳)に注目すると、1975年では14本でしたが、2016年には24本まで増加しています。

〇義歯の使用率

以上のことより平均残存歯数は近年増加傾向にありますが、何らかの補綴物(ブリッジ・部分入れ歯・総入れ歯)を使っている人の割合は年齢とともに高く、後期高齢者では84%に達します。
義歯の種類別に内訳をみますと、歯の喪失が進むにつれて、ブリッジ→部分入れ歯→総入れ歯と、より大きな義歯を使用する状況が窺え、後期高齢者では約3割の人が総入れ歯を使用しています。

〇歯の補い方

失った歯の補い方の種類としては、ブリッジ、入れ歯、インプラントがあります。
保険内の治療であればブリッジや入れ歯、保険外であればインプラントで補います。
ただしブリッジや義歯は保険診療外のものもあります。
また2020年4月より、生まれつき永久歯が生えてこない先天性欠如歯が6本以上ある場合、公的医療保険適用の元、インプラント治療を受けることが出来るようになりました。

〇義歯の種類

全部の歯がない場合は全部床義歯、少数歯欠損の場合は部分床義歯を作ります。


      。

保険適応・適応外の義歯の違いに関しては当院のHPを参照ください。

義歯・入れ歯のページを見る 

〇全部床義歯の作り方

【口腔内診査】

適切な義歯の形態把握のためには解剖学的、生理学的知識が必要となります。

概形印象による研究用模型製作

既製トレーにて型どりを行います。
出来上がった模型を使用し上図の各解剖学的ランドマークを元に診査・診断を行い、義歯床外形を設計し、個人にあったトレーを製作することを目的に行います。

個人トレー

【精密印象、筋圧形成】

個人トレーにて、より精密に型どりを行います。
この型どりの際には患者さんに、頬や口唇、舌を動かしていただき機能運動時における入れ歯の形態を記録していきます。
これを筋圧形成または辺縁形成といいます。

〈筋圧形成の意義〉
義歯床辺縁位置や厚さなどを生体の筋活動に調和させるために行います。
無歯顎の場合には筋肉の動きは義歯の離脱に大きく関係し、可能な限り床面積を増やし最大限の吸着を得ることが必要となります。

【咬合床製作】

精密印象によって作業用模型が作られます。
この作業用模型上で咬合床という失われた咬み合わせを再構築する為の装置を上下顎に合わせて作ります。
この段階での粘膜部はレジンという堅い材料でできており(他種類あり)、後の咬合面に置き換わる部分は熱で軟らかく出来るワックスで出来ています。

【咬合採得手順】

①上前歯豊隆(リップサポート)の決定
②仮想咬合平面の決定
③咬合高径の決定
④下顎位の決定

入れ歯での咬み合わせの位置を決めていきます。
元々お使いの義歯があれば参考にする場合もありますが、1から義歯を作る場合はこちらで形態学的、生理的、機能的要素を加味した上下顎の位置を決めていく必要があります。
①では上の前歯の張り具合を決定し②では上の義歯の前方、側方から見た位置を決定し③では上下義歯の垂直的、④水平的な位置を決定していきます。
また作業を進めていく中でエラーが出ていないかワンステップごとに確認しながら行います。
エラーが出た場合は前ステップへ戻り修正を行います。
咬み合わせが定まれば、人工歯配列のための正中線(顔の真ん中を示す線)などの表示線を記入し、上下の咬合床が動かないように固定します。
以上で咬合採得は終了です。

【技工作業】

作業用模型および咬合採得で用いた咬合床を咬合器に取り付けて人工の歯を並べていきます。
咬合器を用いる目的としては、生体外で顎の位置や運動を再現し生体に調和した義歯作製をする為です。

人工歯の種類は、材質、色調、形態と大きさで分けられます。
材質の違いで陶歯、レジン歯、硬質レジン歯、金属歯等で分けられ、色調は皮膚、目、髪の毛の色を参考にします。
また形態や大きさなどは性別、個性、年齢を参考にし、人工歯排列を行います。

【試適】

完成前にワックスでできた仮の義歯を患者さんの口腔内に入れて実際に確認します。
義歯製作に際し、試適の段階で最も重要なものがリップサポートです。
次いで咬合平面、咬合高径、下顎位と言われています。

〔試適チェックポイント〕

・人工歯の選択が正しいか
・前歯部の排列
・咬合高径のチェック
・臼歯(奥歯)の排列
・水平的な咬合関係のチェック
・もう一度床縁の位置、辺縁形態のチェック

【完成】

【義歯調整】

まずは慣れるまで一週間ほどお使いいただき、痛みが出るようでしたら、強く当たっている部分などを削り、徐々にお口に合うよう調整していきます。

【メンテナンス】

3~4ヶ月に一度お口の中と義歯のメンテナンスをさせていただきます。

〇義歯のお手入れ方法

毎食後、義歯を外した状態で歯磨きを行い、入れ歯もお口の中と同様に入れ歯専用の歯ブラシまたは普通の歯ブラシを用いて清潔な状態を保つように
してください。
また寝るときは外していただき、清潔なお水の中で保存してください。
噛む力が強い方や、残っている歯に負担がかかってしまうような方など患者様によっては寝るときも義歯の装着をしていただくことがあります。
現在お使いの入れ歯に痛みがある、咬み合わせが悪い、食事中に動くなどの症状がある場合は歯科医師による調整が必要となりますので、お困りのことがありましたら一度歯科医院への受診をお勧めいたします。
また、快適に使用できていた入れ歯でも、使っているうちにすり減ったり、入れ歯を支える骨が減って粘膜と入れ歯の間に隙間ができるなど不具合が生じることがあります。
入れ歯は、歯科医師が定期的に調整を行うことで長く使用することができます。

本文の作成にあたり、東京医科歯科大学 高齢者歯科学 水口俊介教授はじめ多くの指導員の方より熱心なご指導を受け賜わりました。
有床義歯に関する基礎知識の再確認および臨床における正確な筋圧形成の会得の為の貴重な機会をいただき、心から感謝いたします。

歯科医師 小松リナ

(参考文献)
歯の喪失の実態 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp) 安藤雄一先生
・きちんと確実にできる全部床義歯の印象
・きちんと確実にできる全部床義歯の咬合採得
・きちんと確実にできる全部床義歯の試適・装着
・東京医科歯科大学歯科同窓会学術部 C.D.E 実習コース 参考資料より

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インプラント治療におけるサージカルステントの有効性

こんにちは。
皆さんはインプラント治療で用いられるサージカルステントをご存知ですか?
今回は、近年インプラント治療のデジタル化により飛躍的に進歩を遂げているサージカルステントについて注目していきたいと思います。

<サージカルステントとは?>

術前に撮影したCT画像で計画したシミュレーション通りにインプラントを正確に埋入するためのガイドプレートです。
インプラント埋入の術前計画ではCTデータにより顎骨の密度や量、血管・神経の位置を確認してコンピュータでインプラント体のサイズや埋入位置、方向を決定します。

サージカルステントが導入される以前は、実際の埋入手術は術野を確保するために歯肉を切開して顎骨の形態を目視しながら進めていくという方法でしたが、術者の技量に依る部分もあり、事前に用意した埋入計画が正確に反映されないことや患者さんへの侵襲が大きいといった問題点がありました。
しかし、このサージカルステントを使用することにより、術前シミュレーションで確実に安全と診断された部分に正確な角度、深度でドリルを誘導し、埋入窩を形成することができます。

また、条件が揃えばフラップレス手術といって、ピンポイントで歯肉の除去を行った顎骨にインプラントを埋入することもでき、さらに、術前に補綴物を設計・製作することで即時に口腔の機能を回復することが可能になりました。

<サージカルステントの作製>

診査・診断の上、患者さんの顎の模型をとり、その模型上でマウスピースを作製します。次にこのマウスピースを口腔内にセットしてCT撮影を行い、CTデータをコンピューターに取り込み、インプラント専用のソフトウェアで3D画像化します。この3D画像をもとに埋入計画を立て、3Dプリンターでサージカルステントを作製します。
材料として剛性の高い樹脂を用いたり、十分な厚みを確保するなど破折やたわみに対する配慮も必要になってきます。

<サージカルステントのメリット>

以下にサージカルステントを用いた場合のメリットを挙げてみたいと思います

1. 従来と比較してより確実な埋入ができる
2. 顎骨の形態を考慮しつつ、最終的な補綴物までもイメージして、インプラント治療を行える
3. 歯肉を切開する必要がないため、疼痛や腫張を軽減できる(症例による)
4. 手術時間を短縮できる

<サージカルステントのこれから>

現在、国内でサージカルステントを取り扱っている歯科医院はまだ少数ですが、安全にインプラント治療を受けていいただくために非常に有効なシステムです。
インプラント治療におけるあらゆるステップがデジタル化されつつある中で、サージカルステントの使用は必須となってくるでしょう。

歯科医師 廣田小百合

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星陵日記

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