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アーカイブ: 3月 2017

今注目の骨ホルモン!「オステオカルシン」

今、医学界で大注目のホルモンがあります。それが骨ホルモン(オステオカルシン)です。
そのオステオカルシンについて、今回はお話ししたいと思います。

骨ホルモン?

骨は骨格を形成するための、体を支えるただの骨組みと思っていませんか?
それが実は違うのです。
骨には全く違う役割があることが分かってきたのです。
骨の内部には血管が通り、髄液が詰まっていて、骨から血管も出ています。
そんな骨から分泌されるホルモンがあります。それが骨ホルモン(オステオカルシン)です。

オステオカルシンは、2007年にコロンビア大学のジェラルド・カーセンティ教授によって発見されました。
このオステオカルシンには、様々な臓器を活性化する働きがあることが分かってきました。

脳・・・・神経細胞の結合を維持させ、記憶・認知機能を改善
膵臓・・・膵臓の働きを活発にしてインスリンの働きも活性化
肝臓・・・幹細胞の代謝を向上させ肝機能を向上
心臓・・・心臓を活性化し、動脈硬化を予防
小腸・・・糖などの栄養吸収を促進
精巣・・・男性ホルモンを増やし生殖能力を向上
腎臓・・・骨が作るFGF23というホルモンが腎機能を向上、血液をきれいにしてくれる働きを促進
皮膚・・・皮膚組織と同じ種類のコラーゲンを作り出し、シワの数と相関が高いというデータがある

このほか胃と肺にはオステオカルシンとの関連はまだはっきり分かっていないようですが、オステオカルシンが胃や肺の機能向上させる可能性はあるそうです。
ちなみに、骨密度とオステオカルシンの数値は関係がないことが分かっています。

オステオカルシンのサプリメント?

九州大学の平田雅人教授のマウスによる研究によると、オステオカルシンは経口投与の方が、腹腔内に注射して直接投与するよりも、長時間、血中濃度が高い状態が続くことが分かったそうです。
平田教授は、「経口投与は、医療従事者の手を必要とせず、簡単で安全な投与方法という利点がある。経口投与でオステオカルシンの血中濃度を上げることができるので、代謝改善などメタボリックシンドロームの予防薬として使える可能性がある。オステオカルシンの吸収を促進するような物質が見つかれば、それとの併用投与も有効だろう。研究を重ねて、臨床応用の道を探りたい」と話しています。
なので、今後、オステオカルシンのサプリメントが実用化される日がくるかもしれません。

オステオカルシンが出る方法?

2月15日のNHK「ガッテン!」では、簡単にオステオカルシンの分泌を促進する方法を紹介しています。
骨細胞は長い突起を出して、互いにつながりあっています。なので、ひとつの細胞に刺激を与えると周りの細胞にも次々と刺激が伝わって全身の骨細胞が活性化します。その結果、オステオカルシンの分泌を促します。
そこで、オステオカルシンを増やすために一番お薦めなのが、「かかと落とし」です。

〈かかと落としのやり方〉

(1) 姿勢をよくして、ゆっくり大きく真上に伸び上がる
(2) ストンと一気にかかとを落とす
1日30回以上行う(空いた時間に少しずつでよい)
高齢や体力のない人は、壁などに手をついてやってもOKです。
ただし、絶対に無理はしないでください。
骨粗鬆症の人だけではなく、血糖値が高めの人におすすめです。

オステオカルシンと歯科との関連?

歯の発生は、歯胚の細胞から作られ成長し、口腔内に萌出する複雑な過程であり、なかでもセメント芽細胞がコラーゲン繊維やオステオカルシンのような非コラーゲン性のタンパク質も分泌することが分かっています。

また、チタンインプラントとその周りの成熟骨との間には無構造層が介在し、その無構造層にはオステオカルシンが多量に分布していることも分かってきています(九州大学)。

かかと落としや歩くことなどのかかとに加わる骨への刺激だけでなく、咬むことによる骨への刺激も、オステオカルシンの分泌に大きく影響しているのかもしれません。

昔から、「しっかり歩くことと、しっかり咬むことが、健康で長生きする秘訣」と聞くことが多々ありましたが、様々な研究で実証されているのかもしれません。

私たち歯科医師は、皆様の「咬むこと」を大切にすることで、少しでも健康で長生きすることのお手伝いができれば幸いです。

歯科医師 梶永佳奈代

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