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アーカイブ: 5月 2022

子供を虫歯にさせないためにできること

こんにちは。
色とりどりの紫陽花に、梅雨の訪れを感じる季節となりました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

6月4日は6(む)と4(し)の語呂合わせで「虫歯予防の日」と言われています。
今回は小児の虫歯予防についてご紹介させていただきたいと思います。

虫歯は、細菌因子、宿主因子、食餌因子の全て揃って発生すると言われています(Keyesの病因論)。
特に虫歯になりやすくかつ進行しやすい乳歯や幼若永久歯(生えて間もない、根っこが完全に出来上がっていない永久歯)の虫歯予防を図るためには細菌因子、食餌因子、宿主因子のそれぞれについて手段を講じる必要があります。

【細菌に関連する虫歯予防】

(1)ミュータンスレンサ球菌(虫歯菌)の伝播抑制
ミュータンスレンサ球菌は、多くの場合養育者を介して小児の口腔内に感染します。その後スクロール(ショ糖)を基質として粘着性グルカンを産生し、歯面に強固に付着することで定着します。
口腔内にまだ歯が生えていなければ、ミュータンスレンサ球菌が一時的に口腔内に存在しても定着することはないが、乳歯の数が多くなるに従って定着しやすくなります。
ミュータンスレンサ球菌がいつ定着したかは通常わかりませんので、歯が萌出したら保護者が歯ブラシを使って小児の歯を磨くようにしましょう。

(2)デンタルプラークの形成抑制
デンタルプラーク(汚れ)をそのままにしておくとエナメル質や象牙質の脱灰が生じやすくなります。
デンタルプラークをブラッシングやフロッシング、歯科医院での歯面清掃といった方法で機械的に除去し、成熟化を防ぐ必要があります。

口腔清掃(歯口清掃法)

・歯磨きをいつ行うか

歯磨きは三食の食事及び間食直後に行うことが望ましいですが、特に重要なのは夕食後です。
就寝時は唾液の分泌が低下するため、もしこの間にデンタルプラークや食物残渣が口腔内にあると、長時間唾液による自浄作用を受けることなく残存し、齲蝕の発生リスクが増大します。

・適切な歯磨き法

小児に適した歯磨き法としましては、簡単で、かつ歯面及び咬合面の施工除去効果が高いスクラビング法(以下で説明します)と呼ばれるものが推奨されています。
小児の成長や理解度によっては、操作の簡便なフォーンズ法を選択するのも良いとされています。

《スクラビング法》

〜スクラビング法の磨き方〜
1)歯ブラシの毛先を歯面に垂直に当て、歯肉辺縁部にも軽く接触させます。
2)近遠心的方向には、6mmほどのスクロールで往復運動します。
3)前歯部の口蓋・舌側歯面は歯ブラシを縦にして1歯ずつ小刻みに動かします。
4)咬合面は前後に小さく振動を与えて清掃し、最後方臼歯咬合面に毛先を十分到達させます。
5)1歯につき10回磨きます。

《フォーンズ法》

〜フォーンズ法の磨き方〜
唇(頬)側は上下の歯を軽く咬み、毛先を直角に当て、小さく縁を描くようにしながら磨きます。
舌側は前後に往復運動します。

・歯ブラシの選択と交換時期

毛が広がり始めたら交換するか、毛が広がらなくても1か月に一度くらいの割合で交換すると良いです。

・歯磨き粉について

近年市販されているほとんどの歯磨剤にはフッ化物が配合されており、ブラッシングの際に用いると齲蝕予防効果があるため使用が推奨されています。
年齢によって推奨されるフッ化物配合歯磨剤のフッ素濃度と使用量が異なりますので注意しましょう。

年齢 使用量 歯磨剤のフッ素濃度
歯の萌出時期〜2歳 切った爪程度の少量 500ppm(泡状歯磨剤であれば1000ppmでも可)
3〜5歳 5mm以下 500ppm(泡状またはMFP歯磨剤であれば1000ppmでの可)
6〜14歳 1cm程度 1000ppm
15歳以上 2cm程度 1000ppm

※MFP:モノフルオロリン酸ナトリウム

・フロッシング

虫歯のなりやすい隣接面の清掃は、歯ブラシだけでは十分ではないため、フロスの使用が極めて重要です。
デンタルフロスにホルダーがついたタイプは比較的扱いやすいので、是非使ってみてください。

・洗口法

水や薬剤を含む洗口液を口に含み、ブクブクうがいをして吐き出すこと洗口法と言います。
近年はデンタルリンス(マウスウォッシュ)も市販されていますが、歯磨きの補助的手段にすぎず、小児への使用には界面活性剤やアルコールを含む製品も多いため注意が必要です。

【食事・生活習慣に関連する齲蝕予防】

〜Stephanカーブ〜

糖質を含む食品を摂取すると、歯面上の最近によって酸が産生され、pHが低下します。
歯の表面は酸性環境になり、エナメル質の脱灰が生じます。
その後一定時間をかけ、唾液の緩衝作用、自浄作用によりpHが中性の状態に戻ると、エナメル質表面では再石灰化が起こります。
歯は脱灰と再石灰化を繰り返して健全に維持されていますが、生活習慣の状況によっては、歯が酸性環境にある時間が長くなって齲蝕が発生しやすくなります。
ダラダラ食べ(常にだらだらと時間をかけて食べ続けること)をしていると脱灰時間が長くなり、再石灰化が追いつかず、虫歯ができやすくなります。
だらだら食べは控え、時間を決めてメリハリをつけておやつやご飯を食べるようにすると良いですね。

【歯に関連する虫歯予防】

(1)フッ化物の利用

フッ素は歯の表面のエナメル質の結晶構造を変化させ、酸による脱灰を抑制することができるために広く利用されています。
乳歯や幼若永久歯は成熟永久歯と比べて、構造が未熟なため、耐酸性に劣りますが、フッ素を取り込みやすいです。

1)フッ素配合歯磨き剤

フッ化物配合歯磨剤の予防効果を十分に発揮させるためには適切な量の歯磨剤を用いて、歯磨き後のうがいは10-15mlの水で1回うがいをします。その後1―2時間は飲食を控えます。特に就寝前に使うと効果的です。

2)フッ化物歯面塗布

歯科医院で高濃度のフッ素を歯に直接塗布する方法です。
萌出直後の歯に対して行うのが最も効果的と言われています。
虫歯に最も罹患しやすいのは歯が萌出してから1年6か月までであると言われているため萌出直後からフッ化物歯面歯面塗布を実施する必要があります。
これは、萌出して間もない歯は、反応性が高く、フッ化物塗布による歯の表層へのフッ素の取り込み量が大きいからです。繰り返し塗布することで効果が持続します。

3)フッ素洗口

4歳以降からフッ素洗口液でブクブクうがいをする方法です。

(2)シーラント

虫歯になりやすい溝を事前に埋めてその部分の虫歯の発生を防ぐ方法です。
特に萌出直後の幼若永久歯は、エナメル質の溝の形態が複雑で深いことから、フッ化物歯面塗布と併用してシーラントを行うことによって高い齲蝕予防効果が期待できます。
しかしながら、シーラントはかけてしまったり取れてしまう場合がありますので、定期的に歯科医院でのチェックを行う必要があります。

今回は子供の虫歯予防についてご紹介しました。
お子様が何歳であっても歯は食べることに直結する大切な組織ですので、今からできることを始めていきましょう。

歯科医師 丹羽 佳世子

参考文献
小児歯科学ベーシックテキスト 第2版 永末書店

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