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インプラントの長期安定に関わる因子

年末年始の慌ただしさから、ようやく普段の生活に戻ってきました。
寒の入りも過ぎ、いよいよ冬本番。
空気も乾燥し、巷ではインフルエンザが大流行し始めています。
体調管理に気をつけお過ごしくださいね。

ところでインプラントにどのようなイメージをお持ちでしょうか?

・一生涯使えるもの?
・自分の歯と同じように使える?
・高い?
・トラブルが多い?

一時期はメディアにも多く取り上げられていたインプラントですが、実際のところどのくらい使えるものなのでしょうか?
今回はインプラントの寿命とそれに影響するものについて、ご紹介しようと思います。

インプラントって?

歯を失ってしまった際の治療法(欠損補綴)には大きく分けて、入れ歯、ブリッジ、インプラントの3つが存在します。
ではそれぞれどのくらい長く使えるものなのでしょうか?
欠損補綴の種類による単純比較はできないのですが、治療後 10 年でどのぐらいの人が使い続けているか(10 年生存率)で比べてみましょう。

インプラント 入れ歯 ブリッジ
メリット 健康な歯を削ることがない
周囲の歯に負担をかけない
噛む力が本物の歯に近い
健康な歯を削る量が少ない
取り外して清掃できる
残っている歯や顎の形にとらわ れない
異物感が少ない
つけたままで生活できる
本物の歯の感覚に近い
デメリット 治療期間がかかる
外科治療が必要になる
骨の量や持病によっては適応外となる
(できないこともある)
異物感が強い
金属などが見えることがある
噛む力が弱い
(本来の2割程度)
本数や適応範囲に限界がある
(できないこともある)
健康な歯を削る必要がある
清掃しにくい
10年
生存率
約95% 修理なしでは継続利用困難 約87%

またある研究ではインプラントの早期(上部構造完成前)脱落は 154 本/11311 本(1.4%)、約 9年経過した症例で脱落した数は 46 本/2367 本(2.0%)
脱落していないものの、問題を抱えているインプラントの数は早期で 121 本/11311 本(4.4%)約 9 年経過した症例で 25 本/2367 本(4.2%)
9年間経過を追っている患者さんで、早期、晩期合わせると問題を抱えるインプラントは 45 本/2367 本(7.6%)インプラントが脱落してしまった本数は 72 本/2367 本(3.0%)となっており、約 97%のインプラントが機能しているとの結果が出ています。

では問題を抱えているインプラントや脱落してしまったインプラントは、どのような理由でそのような事態に陥ってしまったのでしょうか。

一番大きな原因は歯周病です。日本人の約8割の人が罹患すると言われている歯周病ですが、実はインプラントも歯周病に罹患してしまいます。
インプラントの約 9.5%が歯周病に感染してしまうそうです。
そのほか、持病(糖尿病や骨粗しょう症)、補綴(被せ物の形)や趣向品(喫煙)などの問題もインプラントの長期予後には欠かせない因子ではありますが、それらは歯周病にも影響を与える因子であり、歯周病の予防がインプラントの長期安定に最も重要な因子だということがわかります。

インプラントは天然の歯とは違い、歯肉(歯茎)とは付着していません、そのためインプラントの歯周病により骨が溶けてしまうとインプラントはすぐにぐらついてきてしまいます。
またインプラントは骨とダイレクトにくっついているため揺れ始めるとさらに骨にダメージが加わり、どんどん骨が溶けていってしまいます。
この悪循環が原因でインプラントが取れてしまうことが多いのです。
最大の敵インプラントの歯周病を防ぐことで、インプラントが“ダメ”になってしまうリスクがかなり下がります。

歯周病に気をつけるためには普段の歯磨き、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
現在インプラントを埋めている方も、そうでない方も、定期的にメンテナンスを受けて、生涯美味しいご飯をしっかり食べることができるようしましょうね。

ちなみに生涯美味しくご飯を食べることができる健康な歯をお持ちの方は、健康寿命も長いそうですよ!

歯科医師 渡辺知明

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